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北欧モダニズム建築の巨匠、アルヴァ・アアルト

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北欧建築様式のひとつに「北欧モダニズム」があります。第一次世界大戦期から1920年代にかけての「北欧古典主義」時代を経て、1930年頃から本格的に北欧にもたらされたモダニズム建築。機能主義の理念を取り入れつつ、そこに自由な表現で個性が加えられていきました。

北欧モダニズムには「自然とのつながりを大切にする」「異質な要素と対立せず融合していく」「気品ある優しさを優先する」といった特徴が見られます。

その北欧モダニズムの礎を築いたとされるのがフィンランドのアルヴァ・アアルト、スウェーデンのフィン・ユール、デンマークのアルネ・ヤコブセン。建築界の巨匠であるこの3人に共通するのは自然を愛し大切にし、その心地よさが感じられる建物や家具を作り上げてきたことです。その中の一人、アルヴァ・アアルトについて、代表作品と合わせてご紹介していきたいと思います。

モダニズムの父、アルヴァ・アアルト

アルヴァ・アアルトはモダニズム建築を語る上で欠かせないほど影響力のあった世界的に有名なフィンランドの建築家兼デザイナーです。建築はもちろんですが、都市計画や北欧インテリアに欠かせない名作家具まで手掛け、モダニズムの父とも呼ばれていました。

昨年2018年に生誕120周年を迎え、日本でも本格的な回顧展が行われたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。

アアルトは、自然の世界を讃えることでさらに人間味のある社会を創造できると信じ、フィンランドの豊かな自然から色や形のヒントを得ていたと言われています。そのため、アアルトのデザインには自然との調和や自然の有機的な形状を活かしたものが多く見られます。

また、特に光の設計にこだわりがあり、自然光と人工照明とのバランスについて研究を重ねていたそうです。

1935年には、奥様のアイノ・アアルトを含む3人のデザイナーたちと北欧を代表する家具ブランド「アルテック」を立ち上げました。

アアルトの家具には「アアルトレッグ」と呼ばれる曲げ技法が用いられています。これはフィンランドに多く自生する樺の木を活用するために開発されたもので、アアルトレッグによって強度のある安定した家具が作られるようになったそうです。

完成されたシックでモダンな造形美と自然のぬくもりが感じられる作品は、時代や国を超えて今なお広く愛され続けています。

アルヴァ・アアルトの代表的建築物

パイミオ・サナトリウム

結核患者のための療養施設で、アアルトの建築人生初期の傑作とも呼ばれる建物です。 医療施設の設計をしたことがなかったアアルトですが、自身が設計中に病院に入院した経験から、患者視点の療養所を建てることができたそうです。

入院患者の心を少しでも癒したいという想いで、バルコニーからは周りの静かな森の風景が見渡せるように設計されています。施設で使用する家具や照明器具、洗面陶器や扉の取っ手などもアアルトによって設計されました。

マイレア邸

1937年着工、39年に竣工。アアルトがクライアントのために建てた最初の作品で、20世紀住宅建築の傑作のひとつとされています。クライアントはアアルトが手がける家具ブランド「アルテック」の出資者であるグリクセン夫婦。

貴族階級の住宅に使われていた北欧的L字型デザインを取り入れ、プライベートな屋外空間にはプールとサウナ小屋を設けました。木立の間の白い箱のような家がモダンながらいかにも北欧らしいデザインで目を引きます。2階に並ぶ斜めになった窓も印象的です。

室内の大きな窓からは外の風景が楽しめます。また、居間とエントランスと食堂をゆるやかに分節する木製のルーバーがあり、階段もこの丸棒で覆われています。日本の竹をモチーフにしたそうで、アアルトは外の自然との繋がりを大切にし、室内にも森のイメージを取り入れたのです。窓から見える景色と見事に調和がとれ、外との繋がりが感じられる作りになっています。

また、細部の造形には竹や障子を採用したり、柱に藤を巻くなど日本の伝統建築の特色を活かしたデザインも見られます。扉は引き戸が多く活用されています。

自邸

ヘルシンキ都市部から少し離れた閑静で緑豊かな住宅地にある自邸は、奥様アイノ・アアルトとの共同作品で、1936年に建てられました。暮らしていた当時そのままに今も大切に保存されていますが、古臭さを感じさせないモダンな空間に、機能的で、シンプルで、美しい北欧の家らしい魅力が凝縮されています。

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白塗りのレンガとダークブラウンの木張りの壁でこじんまりとした佇まいです。間伐材などの安価な木材を使って建てられた典型的なフィンランドの家と言えます。暖かくなると這うように伸びた蔦に覆われ、まるで植物と一体化しているような印象を受けます。

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もともと自宅には製図デスクが並んだミニスタジオが併設されていました。アアルトの作業机もそのまま残っています。スタジオの屋根はハイサイドの窓から入る太陽の光を、くまなく室内に反射させるようにV字型になっているそうです。

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スタジオとリビングの間仕切りには、大きな木製の引き戸が使われています。そうすることで仕事場と生活の場の敷居をなくし、空間につながりを持たせていました。

木製の壁やインテリアで自然のぬくもりが感じられる室内は、大きな窓から見える外の景色ともよくなじみ、ほっと落ち着ける空間です。窓辺には観葉植物が並べられ、外の自然と中の暮らしの間に繋がりを持たせています。

自邸で使われていた家具や照明などもアアルト自身でデザインしたものがほとんど。存在感のある名作家具が揃ったリビングは、まさに北欧インテリアのお手本です。

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アトリエ

自邸から15分ほど歩いていくと、住宅街に真っ白な建物が現れます。自宅併設のミニスタジオが手狭になり、新たに建てられたアトリエです。室内も白を基調にしたデザインです。

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1階には、ミニ展示スペースと食堂があり、2階が作業場になります。手描きで製図していた当時の道具や、アアルト事務所が手がけたプロジェクトの展示・模型などを見ることができます。

アトリエにはさまざまなデザインのランプが垂れ下がっていたり、あらゆるデザインの椅子が置き並べられた、比較検討するための実験スペースもあります。

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製図室はミニスタジオの時と同じように傾斜のついた屋根で、窓から取り込んだ光を反射して手元を明るく照らす工夫がされています。ここにも光へのこだわりが見られますね。

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まとめ

ここでご紹介した以外にも、自国の木材をふんだんに使って自然とモダニズムをうまく融合させた教会や大学、図書館など多くの建築物が残されており、フィンランドの至るところで目にすることができます。

インターデコハウスでも人気の北欧デザインの家「Luonto(ルオント)」や「「Helmi(ヘルミ)」」については商品ラインナップでご案内しています。

北欧に興味を持たれた方はぜひご覧になってみてください。

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